日経ビジネス掲載の書評『新刊の森』の紹介です。

メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 2007年12月17日~12月24日

私はこうして日本一MINIを売る女になった
私はこうして日本一MINIを売る女になった福田 稔己

ソフトバンククリエイティブ 2007-09-26
売り上げランキング : 1295

おすすめ平均 star
star現役のトップセールスに学ぶ
starこの人から買ってしまいました。
starお客様の立場に立つということ

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2日に1台という異例のハイペースで、個性的な小型車「BMW MINI」を売り続けている営業のスペシャリストが、体験談や販売のコツを披露する。著者は自分の性格を「口下手で人見知り」と謙遜する一方、口下手だからこそ顧客の話に耳を傾ける、人見知りだからこそ顧客の小さな反応が気になり、フォローしたくなるとも言い、トップセールスウーマンとしてのプライドを随所にのぞかせる。

顧客に良い印象を残すことを重視した挨拶の仕方や、手紙と電話、メールの使い分け方を示し、何気ない工夫が成否を分けると言う。売りたい気持ちを表に出さないのは当然で、今は「顧客がいつでも断れるスキをわざと残す」境地に至っていると記す。

■2007/12/24, 日経ビジネス, 83ページ

不都合な真実
不都合な真実アル・ゴア 枝廣 淳子

ランダムハウス講談社 2007-01-06
売り上げランキング : 316

おすすめ平均 star
star啓発的な書
star明日から出来ること
star環境問題への入門書として

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環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks (024))
環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks (024))武田 邦彦

洋泉社 2007-02
売り上げランキング : 410

おすすめ平均 star
starさらに加速する、日本の政策不況。その原点。
star真実を知ること
star私は納得したが、女房は納得しない。

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地球環境問題を巡る論戦

2007年は地球環境問題が大きくクローズアップされた年になった。人類史上かつてない危機の到来が叫ばれる中、「ECO(エコ)」をキーワードとする生活習慣が社会に浸透していった。一方、過熱するブームを疑問視する識者も登場し、それぞれの主張をまとめた書が上位にランクインした。

地球環境の危機的現状と、その対策の必要性を説いて世界的なベストセラーとなったのが『不都合な真実』(丸善丸の内本店総合3位)だ。著者の前米副大統領アル・ゴア氏は、「環境問題への取り組みは自らのライフワーク」と主張し“地球環境問題の伝道師”として注目された。2007年10月にはノーベル平和賞を受賞している。

一方、「環境活動を錦の御旗と化すことで社会は合理的な判断を失っている」と主張するのは『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』(丸善丸の内本店総合26位)。科学技術に通じた著者は、ペットボトルのリサイクルやごみの分別回収は、地球に優しいどころか逆にお金や資源、石油の無駄遣いだと苦言を呈する。さらに「極地の氷が解けると海水位が上昇する」といった論旨には科学的根拠がないなどと辛辣に批判する。

レバレッジ・リーディング
レバレッジ・リーディング本田 直之

東洋経済新報社 2006-12-01
売り上げランキング : 250

おすすめ平均 star
star表紙にある本の選択がイマイチ
star「読書とは投資活動である」という捉え方
star新しい本の世界へ

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誇り高き国 日本―この国に生まれて本当に良かった
誇り高き国 日本―この国に生まれて本当に良かった池田 佳隆

ダイヤモンド社 2007-01-13
売り上げランキング : 45913

おすすめ平均 star
star日本を変えるために、日本の青年がすべきこと。
star全体主義者的表現、ウソ、偏見が多い

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勉強法、情報収集術を学ぶ

年間を通じて「勉強法」や「学び方」と銘打ったビジネス書が多数出版され、幅広い層から人気を集めた。

そうしたブームの火つけ役となったのが、『レバレッジ・リーディング』(丸善丸の内本店総合28位)だ。勉強法を説く本の内容は、総じて情報収集術、時間活用術、資格試験対策に集約できるが、本書ではビジネス書の「多読」をテーマに、仕事に役立つ知識やノウハウを効率的に入手する方法を説く。レバレッジとは「てこの原理」を指し、この方法に従えば、忙しい人でも1年間に400冊以上を読破できると言う。1冊の本の肝となる部分は大概の場合全体の2割程度だと言い、そこを見つけ出して学び取るのが多読の習慣を維持するコツだと説く。

また、2007年前半は安倍晋三政権の人気を背景に「美しい国、日本」を見直そうと主張する書も多数登場した。『誇り高き国日本』(丸善丸の内本店総合42位)もその1冊だが、著者は社団法人日本青年会議所の前期会頭であり、40代の若きリーダーが唱える国家論として注目された。「若きリーダー」への期待感が失望に変わった今、2008年の論壇で主役を担うのはどんな層なのか、候補者不在の状況が続く。

■2007/12/24, 日経ビジネス, 84~85ページ

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学
スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学吉本 佳生

ダイヤモンド社 2007-09-14
売り上げランキング : 149

おすすめ平均 star
starまあ、読みやすく楽しみながら経済が分かる良書
star若い人に読んでほしい経済学入門!生活意識が変わります!
star売れているけれど

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スターバックスコーヒーでは、どの飲み物も、容量240ccのショート(S)と480ccのグランデ(G)の価格差が100円となっている。例えば、Gサイズのコーヒーは380円で、Sサイズ(280円)から増えた240ccは100円で買えることになり、消費者にとってはかなり得である。本書は「取引コスト」という切り口で、スターバックスにとってもこの価格が利益率を高める合理的な設定であることを説明する。

突き詰めると、消費者が支払う価格の大部分は取引コストにつながる。企業は取引コストの削減を競い合い、より多くの顧客を獲得することで利益を拡大しようとしている。ペットボトルのお茶、携帯電話の料金プランなど、身近な消費生活を題材に、経済の仕組みを分かりやすく解説している。

■2007/12/17, 日経ビジネス, 83ページ

お家さん 上巻 (1)
お家さん 上巻 (1)玉岡 かおる

新潮社 2007-11
売り上げランキング : 2117

おすすめ平均 star
star朝ドラか大河ドラマ希望

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お家さん 下巻 (3)
お家さん 下巻 (3)玉岡 かおる

新潮社 2007-11
売り上げランキング : 1999


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著者に聞く-パーソナルライフ-玉岡かおる氏[作家]

三菱も三井も住友もしのぐ巨大グループが、かつてあった。「幻の商社」鈴木商店と、そこに君臨した女主人、鈴木よね。「お家さん」の目で企業の興亡を描く。

──改めて、鈴木よねさんという人の存在感の大きさに圧倒されました。

以前に書いた作品の主人公、実業家の松方幸次郎と関わりがあったという点で、幻の商社と言われた鈴木商店のことを知ったのがきっかけです。かつて神戸に、とてつもないビッグビジネスが存在し、それを率いていたのが私が住んでいる兵庫県・播州地方出身のよねさんという女性。女性の地位がまだまだ低かった時代だから、なおさら強烈です。

鈴木商店の盛衰、現在に至る経緯などをあまり知らないまま、その当時のよねさんの物語を書きたいという動機だったのですが、本が出来上がると意外な反響でした。双日(旧日商岩井)や神戸製鋼所など、鈴木商店を源流とする企業が予想以上に多いことが分かったのです。

先日、双日の方々と話す機会がありまして、皆さんに「ご先祖さんの話を読めて感激した」などとおっしゃっていただきました。「心の主人」というような感じなのだそうです。本当かどうか分かりませんが、新入社員にこの本を配るという企業もあるとかで、口の悪い知人に「経済界を狙って書いたの?」などと冗談を言われるほどです。

─大企業を引っ張る「お家さん」としてだけでなく、母でもある女性としてのよねさんにフォーカスしました。

よねさんという人格の中にどれだけ入り込めるかが今回の執筆のテーマでした。よねさんのキャラクター設定にはもちろん私自身の人生経験が反映されています。執筆の途中で私も、息子が20歳になって巣立っていくという経験をしました。よねさんも子供の成長を、うれしさ半分、寂しさ半分で眺めていたんだろうなというような感覚ですね。

よねさんの心情をうまく表現するため、3人称の文章の間に独白調の文章を挟み込む構成にしました。「~だす」という、私の母の世代まで普通に使われていた昔のお国言葉です。また、準主役扱いの重要な登場人物の中に珠喜という女性がいます。実は彼女は、よねさんの内面を描くための、映し鏡の存在として私が作った架空の人物なんです。これはネタバレですけど…。

本の中で、よねさんが古着をほどいて雑巾を縫う光景が何度か出てきます。着物を簡単に捨てないし、世界一お金持ちの女性と称されたのに、いつも木綿の着物で暮らしていたといいますから、驚くべき質素倹約ぶりです。このあたりの史実にのっとった部分も含めて、よねさんに関しては思い残すところなく描けたかなという感じです。

──執筆に4年。よねさんとこれだけ深くつき合い、人物像に入り込むと、かなり身近に感じられるようになったのでは。

書き終えるまでは、そう感じたことも何度かありますが、今思うとやはり大変すごい人物ですよ。双日や神戸製鋼所の皆さんの反応を見て、その思いを強くしました。

タイトルの「お家さん」という呼び方もそうです。女将でも社長でも会長でもない。ましてやCEO(最高経営責任者)でもありません。鈴木商店の従業員にとっては忠義を誓う象徴であり、それがグループ力の源泉でした。

現在も、大きな老舗の問屋などでは「お家はん」と呼ばれる女主人はいます。でも、「~はん」という呼び方より、「~さん」はさらに格上とされます。「お家さん」と呼ばれたのは、よねさんだけ。限りなく特別な存在だったことが分かりますよね。

玉岡 かおる(たまおか・かおる)氏
1956年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒。主な著書は『をんな紋』(角川書店)、『天涯の船』(新潮社)など。

■2007/12/17, 日経ビジネス, 87ページ

鉄の絆―ウジミナスにかけた青春
鉄の絆―ウジミナスにかけた青春阿南 惟正

朝日新聞社出版局 2007-09
売り上げランキング : 46624


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1956年、ブラジル政府の要請を受けてスタートした「ウジミナス・プロジェクト」。ブラジルの奥地に製鉄所を建設・操業するという同プロジェクトは日本鉄鋼業の海外進出、技術協力の先駆けと言える。本書は28~31歳まで、プロジェクトに参加した著者が、当時の体験を綴った手記である。

日本からは八幡製鉄、日本鋼管、富士製鉄の鉄鋼3社を中心に約800人が赴任した。当初、日本側はブラジル人の仕事の仕方に大いに苦労したという。依頼した仕事が期限までにできることはめったにない。前回の会議で確認したことに対し、次には全く違う意見が出てくるという具合だ。言葉の問題もあり、現場の技術・作業の指導は困難を極めた。また、資金難のうえに僻地という不利な条件だったため、資材の購入、住宅の建設、要員の採用なども手間取った。溶鉱炉の稼働予定を当初より3カ月間遅らせ、死に物狂いで準備を進め、ついに62年10月、溶鉱炉の火入れ式が行われた。滔々と流れ出る真っ赤な“湯”を前に「万歳」と「ビーバー」が繰り返され著者は「生涯忘れ得ない体験」となったと振り返る。

日伯親善と柔道精神の普及をモットーに結成した柔道部での指導、ブラジル人とともに楽しんだ真冬の盆踊りなど、異国での暮らしぶりも回顧する。

■2007/12/17, 日経ビジネス, 85ページ

株式会社ロシア―渾沌から甦るビジネスシステム
株式会社ロシア―渾沌から甦るビジネスシステム栢 俊彦

日本経済新聞出版社 2007-10
売り上げランキング : 9209

おすすめ平均 star
star( =ω=.)<ロシアの日常 その2

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日本経済新聞モスクワ支局に駐在経験のある著者が、独自の経済成長戦略を講じ、世界経済市場での存在感を高めるロシアの実像を描く。

具体的には2003~05年の間に、ロシアの経済路線が転換したことを示す。きっかけは2003年の「ユーコス事件」。ウラジーミル・プーチン政権は、大手石油会社ユーコスを保有するロシア最大の富豪ミハイル・ホドルコフスキー氏を「国策捜査」的な手法で逮捕・投獄し、ユーコスを解体した。著者はこの事件が、ミハイル・ゴルバチョフ元ソ連共産党書記長の登場以来、20年にわたって続いた「欧米を模倣する時代」に終わりを告げるものと表現する。ロシアの権力機関内では、この事件を機に国益第一主義が確立。以後、ロシアは教科書的な市場経済でもソ連型の計画経済でもない、ロシアの現実と風土に合った市場経済という第3の道を目指して模索を始めたと解説する。

ロシア経済の重要なプレーヤーとして、自力で生き残り、成長を遂げた中小企業や、ソ連崩壊後、社会で一定の地歩を築いた女性たちを紹介する。さらに、ロシアの欧米化路線を推進した自由派知識人、路線の修正を唱える知識人のインタビューを収録。ロシアの転換や1990年代の改革の成果などについて、それぞれの考えを示す。

■2007/12/17, 日経ビジネス, 85ページ

私の後藤田正晴
私の後藤田正晴「私の後藤田正晴」編纂委員会 (編)

講談社 2007-09-19
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政治家、官僚、ジャーナリスト、学者ら、後藤田正晴氏と関わった人々57人が「後藤田氏の姿」を映し出す。

後藤田氏が官房長官として仕えた中曽根康弘・元首相は、後藤田氏を「戦争の経験を経て日本の平和国家としての立場を些かも崩さずに、ややもすれば左右に傾こうとする日本の政治軌道を中央ラインに維持させることに懸命の努力を払っていた」と追想し、「官僚出身でありながら、頑なに硬直せず、酸いも甘いも噛み分けた、傑出した政治家だった」と評する。野中広務・元官房長官は2003年に政界引退を表明した際、後藤田氏が部屋を訪ね、「日本にとって今が一番重要な時なんだ。恥をかかすことになるけれども『後藤田が止めた』と言って、あと3年頑張ってくれ」と頭を下げて頼んだというエピソードを明かす。所属する党は違いながらも交流のあった村山富市・元首相は「蜂の一穴」という言葉が印象深いと記す。なし崩し的に自衛隊を海外に出していくことは許されない。この程度ならと見過ごしてきたことが取り返しのつかない事態に発展してしまうと危機感を示していたと振り返る。

様々な立場の人が語る後藤田氏の思想や行動から、政治家や官僚のあり方、憲法、自衛隊、日中関係など、日本の今と将来のあり方を再考させられる。

■2007/12/17, 日経ビジネス, 85ページ

メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 2007年12月3日~12月10日

サヴァイヴ!南国日本
サヴァイヴ!南国日本高城 剛

集英社 2007-07
売り上げランキング : 1334

おすすめ平均 star
starエコってホントは先進的でカッコイイ
starこのワクワク感はやめられないっ!
star高城ファンは必読。グリーン革命を中心に筆者のライフスタイルや歴史への言及も多い。

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粗削りで、年配の読書家には耐えられないかもしれない。

著者は映像作家でDJ。デジタル時代の代表的クリエーターとしてカッコいい表現とライフスタイルを追求してきた。その彼がA今は火A木A土曜日をメールの日と決め、それ以外の日はメールを見ない生活をしている。テレビを見るのも10年以上前にやめたという。「9.11テロ」をきっかけに生活のパターンを、なるべく自然の中で暮らす「環境」重視型に切り替えたのだ。

ただし、流行りのスローライフではない。むしろ若者に広がるスローライフ的な考え方に対する警告だ。

「『地球環境は大変だ!』と騒ぐ人ほどスロー志向だが、大変ならスピード志向で問題解決に当たるべきだろう。(中略)今、我々に必要なことは、ハイスピードなトライEアンドEエラーではないのか?」と著者は主張する。

世界中があっという間に温暖化に対応してアグレッシブに資源の確保や次世代技術にシフトチェンジしている時代に、日本はノンビリし過ぎているのではないかという警告なのだ。

「オーストラリアの人が大挙してニセコの土地を買っているのは、単にリゾートライフを楽しむためだけではない。実は温暖化に危機感を抱いている人たちは、日本に移住する準備を進めていると僕は見ている。(中略)水の豊かな日本に住んでいる僕らにとっては、何度聞いてもなかなかピンとこない真実なのだが、温暖化によって最も懸念されているのは水不足だv。だから、世界中のウオーターマフィアが日本の水を狙っている、と。

ファッションや音楽は「南国化」がキーワード。「世界中暖かくなってしまったので、ここ10年ほどのファッションの流行といえば、パリやロンドンではなく、ハリウッドセレブの、あるいはロサンゼルス(LA)スタイルのカジュアルウエアが中心だ。ニューヨークやミラノよりも、気がつくとLAファッションである」「音楽の流行には時代の気分が大きく作用するので、南国化によって僕たちの気分も、今後ますます南下していくのだろうと僕は分析する。(中略)日本も『南国化』する」。

エネルギー自給率4%、カロリーベースの食料自給率40%の国で、しかも世界が水や食料を奪い合う時代に日本人がペースダウンして「スローライフ」を気取ったらどうなるか。米国でも先端を行く連中はアップルやグーグルを辞め、電気自動車のベンチャー企業や地熱発電の会社を立ち上げたりしているらしい。さて日本の若者は…。【評者 東京都杉並区立和田中学校校長 藤原和博】

■2007/12/10, 日経ビジネス, 89ページ

シリコンバレー式で医療費は安くなるのか
シリコンバレー式で医療費は安くなるのかアンディ ケスラー オープンナレッジ 桐谷 知未

オープンナレッジ 2007-08-16
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自他共に認めるシリコンバレー界の住人であり、IT(情報技術)関連企業への投資で成功を収めてきた著者が、自らの診療体験と取材を基に米国医療業界の最新事情を明らかにする。3Dモデリングや遺伝子検査、仮想結腸内視術など、シリコンバレーで生まれた医療技術の進歩は目覚ましく、今や極小腫瘍やガンを瞬時に発見して治療することができるまでになった。

しかし、IT関連商品やサービスが自由経済の論理に基づいてコストを下げ、広く社会に普及したのに対し、現在の保健医療制度や医師の特権は、矛盾と弊害だらけだと指摘する。「今の医療界にあるのは最高の仕事ではなく最高の医師だけで、産業として成り立っていない」とも批判する。

■2007/12/10, 日経ビジネス, 89ページ

ガスプロムが東電を買収する日
中津 孝司 (著)

著者に聞く-パーソナルライフ-中津孝司氏[大阪商業大学総合経営学部教授] 資源無策への警鐘

原油価格の高騰が続く中、日本のエネルギー政策はどこへ向かうのか。ショッキングな題名の裏に、著者は無策への不満を秘めた。ロシアのエネルギー政策が招く次の国際問題を予言する。

──ロシアの国営エネルギー企業「ガスプロム」が東京電力を買収するという、衝撃的な題名ですが。

もちろんこうした事態がすぐに起きるわけはありません。断っておきますと、今回は東電を国内のエネルギー企業の代表として取り上げています。日本のエネルギー安全保障政策の無策ぶりにより、東電などの国内の電力やガス会社が、ロシア国営企業に買収されるリスクが高まっている。その現状に対して警鐘を鳴らそうとこの本を書きました。様々なシナリオが考えられますが、状況証拠を見ればそうなっても不思議ではない、だから今から対策を考えなければならないのです。

──ロシアのエネルギー企業自体がまだ日本の消費者には馴染みが薄いので、切迫感が伝わりにくいことも確かです。

かつてロシアは遠い国でした。ところが情勢が変化し、日本企業がサハリンで天然ガス田などの開発を進め、両国間で初めてエネルギー開発での接点が生じました。

さらに、エネルギー価格の高騰により、サハリンで採掘された天然ガスの需要も世界的に高まっている。東電などの日本企業は輸送コストなどを抑えられるので購入を決めましたが、韓国や中国なども関心を寄せています。

このプロジェクトの経営権を握ったのが、国営企業のガスプロムです。経営者のほとんどをクレムリン関係者が占めており、まさにロシアのエネルギー政策の代行者でもあるわけです。

西欧で既に起きたことを追うと、ガスプロムの狙いが見えてきます。まず、石油や天然ガスなどの安定供給の見返りに、川下への進出を始めました。例えば、ドイツでは現地資本とガス供給の合弁会社を作ったり、英国では潤沢な資金を元手にやはりガス会社を買収しています。こうした流れから見れば、安定供給の見返りにガスの売上代金のほかに日本の電力会社やガス会社などの株式を求めてくるかもしれません。

──こうして出資されるとどんな影響があるのでしょうか。

当初は5%程度に出資比率を抑えてくるでしょう。ただし、そのうちに株式を買い増して、経営に干渉し始めるリスクがあります。経営に参加するようになれば、天然ガスの買い取り価格の交渉に圧力がかかります。その結果、安定供給か高値での買い取りかという選択をその企業は迫られるわけです。

停電やガス不足を日本の消費者は受け入れませんから、最終的には高い値段で買い取ることになるというシナリオが描けます。買収防衛策などを駆使しても、実質的にこうした圧力を防ぐことは難しいのではないでしょうか。

──日本企業がロシア側と共同でビジネスをすること自体にリスクがあるのですか。 こうした問題はエネルギー産業において特有です。というのは、ロシアにとって戦略的に最も重要な産業だからです。日本企業だけでなく、英BPや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど、数多くの有力な世界企業がロシア側からの圧力を受けています。

加えて、日本にはエネルギー安全保障についてのグランドビジョンがない。ロシアと手を組むにはどのようなリスクを抑えておくべきか、中東や東南アジア、アフリカの産油国との関係をどう築いていくのか。エネルギーの需給が厳しくなる中で、ビジョンのないままでは日本は供給源を失いかねない。結果的に、無策のツケは高い料金となって消費者に転嫁されるのです。

中津孝司(なかつ・こうじ)氏
1961年生まれ。84年に大阪外国語大学ロシア語科を卒業し、86年に金沢大学大学院で修士を修了。ロシアのエネルギー事情に関する著書多数。

■2007/12/10, 日経ビジネス, 93ページ

新祖国論―なぜいま、反グローバリズムなのか
新祖国論―なぜいま、反グローバリズムなのか辻井 喬

集英社 2007-08
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おすすめ平均 star
starナショナリズム
star堤清二としての「新祖国論」を書いてほしい
starもう少し勉強してください

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著者はセゾングループ創業者であり、現在はセゾン文化財団理事長に就く堤清二氏。「辻井喬」は詩集や小説の執筆時に用いる別名である。本書は「信濃毎日新聞」に連載した随想に加筆修正したもの。著者は「わが国の現在がどうしようもなく猥雑に混乱し、低落へと向かっているのは残念ながら事実である。しかし憤慨に身を寄せることなく、その原因を僕なりに考えようとしたのが本書である」と説明する。

今日の我が国の民主主義は有名無実化していると著者は見る。例えば「『世論』という怪物が言論を支配している」と言い、かつての軍閥や思想警察にも似た反民主的権力になりつつあると指摘する。また、グローバリズムの名の下に大手を振って歩く市場経済原理主義者や自由競争至上主義者が格差社会や地球温暖化を生んだと言い、利益を極限までむさぼり尽くす企業文化は「マーケティング病」だと憂える。

さらに、かつてともに同人誌を作っていたという司馬遼太郎氏が抱いていた疑問、「明治維新を成功させた日本が、どうしてこのような知的破産状態に陥ってしまったのか」について、我々は国民的レベルで議論を尽くすべきであったと悔いる。市民社会化を唱えた丸山眞男氏の思想を追いつつ、生活者が主体となる祖国再建を訴える。

■2007/12/10, 日経ビジネス, 91ページ

狂奔する資本主義―格差社会から新たな福祉社会へ
狂奔する資本主義―格差社会から新たな福祉社会へアンドルー・グリン 伊藤 誠 横川 信治

ダイヤモンド社 2007-09-29
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star評価できます

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著者はマルクス学派の理論家として知られる英国の経済学者。オックスフォード大学経済学部長を経て、現在は同大学の上級講師などを務めている。本書は、1980年代以降の新自由主義的グローバリゼーションの膨張が、先進国や北欧の福祉国家における資本と賃労働に与える影響を、マルクス学派の視点から読み解いていくもの。

分析の対象となる地域は広範囲に及ぶが、複雑さを増している金融経済がもたらす世界規模の不安定性に関しては、特に注意を促す。そうした危機を具体的に深化させているのは新たな金融制度、特にヘッジファンドであると言い、その影響を読み解いていく。回復基調に見える日本経済であっても、世界規模の金融崩壊に巻き込まれる危険には常にさらされていると警鐘を鳴らす。また、中国という巨大労働市場の出現が、先進諸国の労働市場に与える負の影響を訴える。

これらの分析を経て、著者の論点は福祉と所得の不平等、貧困の問題に向けられていく。制御不能なグローバリゼーションは、スウェーデンに代表される北欧の福祉国家の政策にも破壊的な衝撃を与えるかもしれないと言う。歳月をかけて育まれた平等主義が脅威にさらされる一方で、格差社会が拡散する可能性をも示唆する。

■2007/12/10, 日経ビジネス, 91ページ

美徳の経営
美徳の経営野中 郁次郎 紺野 登

エヌティティ出版 2007-05
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おすすめ平均 star
star美しいことは善なり。
star日本的経営の真髄を再発見
star質の時代の経営指南書

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混迷の時代に求められる経営の資質を「美徳」と位置づけ、美徳に基づく経営が不可欠とされる背景やそれを実践し得るリーダー像について解説する書。著者の1人、一橋大学名誉教授である野中郁次郎氏は、知識経営の世界的権威として知られている。美徳とは、経済的、社会的また文化的にも複雑で不確実な時代に、リーダーやハブ(連結点)となる人々が何を手がかりに判断、創造し、行動すべきなのかという問いに答え得るものだと言う。

技術一辺倒の研究開発や論理分析的経営の限界はもはや明白であると指摘して、米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授らが提唱していた企業戦略論には人間的、社会的視点が欠如していたと批判する。一方で、我が国には美徳の経営が伝統的に引き継がれていると言い、本田宗一郎氏や松下幸之助氏の経営観、ハイブリッド車「プリウス」成功の原動力となったトヨタ自動車の「良き暗黙知」を解説する。

経営者には「『賢慮』型リーダーシップ」を発揮せよと呼びかける。「賢慮(フロネシス)」とはアリストテレスが掲げた高質の暗黙知、実践的な合理性に基づく知性を指す。社会ニーズや公共の利益を広く見渡したうえで高潔かつ堅固な美学を確立し、実践経営を行う経営者であれとエールを送る。

■2007/12/10, 日経ビジネス, 91ページ

遊歩のグラフィスム
平出 隆 (著)

詩や文学、美術の形式に収まりきらない芸術家たちの哲学性、思考のありように思いを馳せる。

著者は中学時代、『カミュの手帖』を読んで断章の面白さに気づいた。日本の近代文学で、断章による表現を実現したのが正岡子規だと指摘する。初期の随想『筆まかせ抄』、晩年に記した備忘録『仰臥漫録』などは、生来の筆まめと記録癖、書き留めたい欲求が一体となり、日記的なもの、記録的なもの、戯画的なものが渾沌としている。

独の文学者ヴァルター・ベンヤミン、日付だけをモチーフにした「デイト・ペインティング」を生み出し、コンセプチュアル・アートの祖とも言われる美術家・河原温、私小説家・川崎長太郎らの作品を通し、日記、詩歌、私小説などの関係を考察していく。

■2007/12/03, 日経ビジネス, 87ページ

十五億人を味方にする 中国一の百貨店 天津伊勢丹の秘密
十五億人を味方にする  中国一の百貨店 天津伊勢丹の秘密稲葉 利彦

光文社 2007-09-22
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おすすめ平均 star
star笑いと涙の中国ビジネス心得
star中国、ビジネス、百貨店に興味なくても面白い。
star笑える。なのに役立つ。

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著者に聞く-パーソナルライフ-稲葉利彦氏[セレスポ副社長] 15億人相手の真剣勝負

中国で快走を続ける伊勢丹。中国・天津の元社長がその秘訣を語った。日本人としての誇りを持ちつつも、中国人に歩み寄る姿勢が必要と説く。15億対1の真剣勝負の末に多くのことを学んだという。

――中国・天津にある伊勢丹は、2006年までの7年間増収増益を続け、現在では約10万人の固定客がいるほどの人気ぶりです。その陰には相当の努力があったそうですね。

日本の常識が中国では通じないということは日常茶飯事です。まず売り場をどうするかということ以前に、従業員との接し方に苦労しました。

就任当時、従業員たちは売り場であくびをしたり、従業員同士で話をしながら接客をしたりということが当たり前でした。

天津市とのやり取りにも手を焼きました。食品の販売などで許可を得ようと思っても、いつまで経っても許可が得られない。理由も分からなければ、弁護士を立ててもダメ。そんなことの繰り返しです。

中国人15億人対自分1人といった気分でした。サッカーで言えばアウエーの試合で、毎日ゴールキーパーとしてPKを受けているようなものでした。

――中国流のやり方についていけず、赴任してもすぐに帰ってしまう日本人もいるようですね。

何も中国に同化することはないのですが、日本人としての誇りを持ちつつも、中国人に歩み寄る姿勢は必要だと思います。

日本人社員には中国人従業員に対して1人の人間として接するように繰り返し言いました。日本人社員は接客技術のない中国人従業員に「ばかやろう」と怒鳴るなど一方的なコミュニケーションを押しつけがちでした。こちらが我慢強く言い続ければ、従業員も聞く耳を持ってくれるようになる。従業員はいつしか競って顧客にサービスをするようになりました。

中国人はとてもメンツを大切にします。命をかけていると言ってもいいほどです。これを日本人的感覚で軽く扱うと、中国人との関係はぎくしゃくするのです。従業員だけでなく、取引先との間にもメンツを重んじました。

例えば“天津市の役人の親戚”と称した人が「伊勢丹で洋服を売りたい」と持ちかけてきたことがありました。正直に言って、とても売れる代物ではありません。日本では言下に「無理です」と言えばいいのですが、中国ではそうはいきません。そう言ってしまえば、役人のメンツが丸つぶれになるからです。こうなると、出るはずの許可が出なくなるなど、伊勢丹の事業に影響が出る可能性もあります。

ダメだと分かっていても、催事の機会などを捉えてわずかなスペースで売ってもらう。すると役人のメンツもつぶれずに済み、相手も納得してくれる。そのうち「うちの商品はダメなんだ」と自ら分かってくれるのです。

――中国人と日本人は必ず仲良くなれると主張されています。

中国人の行動を考えると夜眠れなくなるくらい理解できないこともたくさんあります。ただ、日本人と中国人には共通する部分も多くあります。その1つが情に厚いこと。一度信頼関係を築けば、損得勘定を抜きにして、いざという時は一肌脱いでくれるのです。

私が天津を去る時には、社員たちは声を上げて泣くくらい悲しんでくれました。また、今でも私が天津に行くと、既に退社した人も集まってきてくれます。私自身も伊勢丹を辞めているので、彼らにとっては何も得をすることがないのに、です。

こうした中国人の情の厚さは、日本人が失いかけている大切なことなのではないでしょうか。

稲葉 利彦(いなば・としひこ)氏
1954年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、伊勢丹入社。2001年天津伊勢丹社長就任。2007年伊勢丹を退社し、セレスポ副社長就任。

■2007/12/03, 日経ビジネス, 91ページ

先んずべし―トヨタ「世界最強」への格闘
先んずべし―トヨタ「世界最強」への格闘日経ビジネス

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2007年3月期に連結で約24兆円もの売り上げを達成したトヨタ自動車。だが、繁栄の傍らで解決すべき課題も増えている。トヨタはそれらの問題をどう乗り越え、「世界最強」の地位を固めるのか。密着取材で明らかにする。「日経ビジネス」での連載に加筆した。

トヨタは10代目「カローラ」を、世界各地での生産・販売を前提に開発した。キーワードは「地球視座」。日本からすべてを見るのではなく、世界全体での最適解を求めた。各国の規制情報や要求要件を集め、最も厳しい基準に合わせて設計。調達に関しては、世界全拠点に均一な品質の部品を供給できる会社を選んだ。

2007年2月には、米国ミシシッピ州の人口250人にも満たない町に新工場を建設することを発表した。北米市場でのトヨタのプレゼンスは高まっており、2007年には通年で初めて、米国での販売台数2位を獲得しそうだ。今後は人材登用、他社への支援、合従連衡などで、業界の盟主としての「器」が問われる域に突入する。

ハイブリッド車の開発、低迷する国内販売への対応、社会貢献など、現在のトヨタを象徴するテーマを取り上げる。豊田佐吉の遺訓「豊田綱領」中の「常に時流に先んずべし」という一節の通り、進化を志すトヨタの姿を追う。

■2007/12/03, 日経ビジネス, 89ページ

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メディアの主流はテレビや新聞などからインターネット、携帯電話へと劇的に変わりつつある。メディアが変われば、当然、広告のスタイルも変わる。本書は、台頭しつつある新しい広告テクノロジーを解説する。時事通信が開催した広告テクノロジーセミナーの講演録に加筆修正した。

実際に最新テクノロジーで広告ビジネスを手がけているベンチャー経営者らが、それぞれの広告テクノロジーを紹介していく。現時点で、オンライン広告テクノロジーの代表格は検索連動型広告だ。検索ワードと連動する広告の効果は広く認識され、市場は急拡大している。各社の検索エンジンの仕組みを調べ、自社の広告やウェブサイトが上位に表示されるように最適化するSEO(検索エンジン最適化)、サイトにアクセスしたユーザーを効果的に誘導するためのLPO(着地ページ最適化)も台頭してきた。

新しいタイプの広告テクノロジーとして、ユーザーがどんな情報にアクセスしたかというアクセス履歴を基にユーザーの属性を把握し、その属性に合った広告を表示する行動ターゲティング広告を挙げる。また、ブログの更新情報をまとめ、通知するRSSフィード、ゲームなども、広告の舞台として可能性が広がりつつあることを示す。

■2007/12/03, 日経ビジネス, 89ページ

悪魔の呪文「誠意を示せ!」―悪質クレーマー撃退の50ポイント (〈シリーズ〉“負けない企業人”になるための本)
悪魔の呪文「誠意を示せ!」―悪質クレーマー撃退の50ポイント (〈シリーズ〉“負けない企業人”になるための本)深澤 直之

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無理難題を執拗に吹っかける「クレーマー」への対処方法を示す。

クレームとは、顧客・市民の要求行為と、苦情、文句、抗議などの「不満足」な感情が重なったものを指す。企業は受けたクレームに対し、事実確認や調査を行い、法的な理由・裏づけのある相当な対応を取ることが必要だ。それに応じず、さらに不当な要求を押し通そうとするのがクレーマーである。クレーマーと顧客を見分けるポイントとして、「複数の部署にクレームをつける」「『社長を出せ、責任者を呼べ』と発言する」など24の行動類型を示す。企業は「大事な顧客である以上、失礼な態度や強い主張はできない」と考えがちだが、間違った顧客至上主義の呪縛から解かれ、我慢しすぎないことを学ぶことが必要だと主張する。

具体的な方法として、イエローカードの活用を勧める。クレーマーの行動パターンに当てはまる行為があったら、イエローカードを机の上に置き、同僚に見えるようにする。著者の経験上、クレーマーは次々とイエローカードが切られ、すぐに10枚以上になるという。以降は、企業が相手をすべき顧客ではないと判断し、相手の要求・主張はすべて毅然と断っていく。「誠意を見せろ」「すぐ来い」などと言われた時の具体的な対処方法も解説する。

■2007/12/03, 日経ビジネス, 89ページ
 
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