日経ビジネス掲載の書評『新刊の森』の紹介です。

メイン > 日経ビジネス書評 『新刊の森』 2007年7月9日~7月23日

中国は敵か、味方か―21世紀最大の市場と日系企業
中国は敵か、味方か―21世紀最大の市場と日系企業莫 邦富

角川書店 2007-05
売り上げランキング : 60400

おすすめ平均 star
star中国にもまっとうなビジネスがあった

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知日派ジャーナリストとして知られる著者が、激烈を極める中国市場での覇権争いに勝ち抜く策を指南する書。中国国民に根づく反日感情と不安定な政治関係は、日系企業にとっては明らかなリスクであると言う。だからこそ、政治の動きに左右されない深く強い基盤を中国社会に定着させることが急務であり、著者はそれを「耐震型の対中国ビジネスモデル」と呼ぶ。これまで反日運動が高まりを見せた際も、「耐震策」を講じていた日系企業には実害が及ばなかったという実例を示す。

中国市場が最も欲している商品とは、ランクで言うならば松竹梅の「竹」、すなわち「妥当な値段の妥当な品質」であると指摘する。日系企業には、日本ブランドで高く売る戦略を捨てて、「竹商品」を広く売れと呼びかける。

■2007/07/23, 日経ビジネス, 93ページ

ブルマーはなぜ消えたのか―セクハラと心の傷の文化を問う
ブルマーはなぜ消えたのか―セクハラと心の傷の文化を問う中嶋 聡

春風社 2007-03
売り上げランキング : 2504

おすすめ平均 star
star一読の価値あり しかしあまりにも一面的
star勇気ある著作。
starブルマーが好きな人にも、好きでない人にもおすすめ

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著者に聞く-パーソナルライフ-中嶋聡氏[精神科医] 多数派は常に善ならず

ブルマーが一斉に消滅した裏に、著者は社会構造のある変化を感じ取る。誰かが嫌な思いをすることを過剰に恐れ、それをタブー視し封印する風潮。それが行き過ぎる現代日本を社会文化論的に斬った1冊。

――本書にはブルマーの登場から消滅に至る歴史が綴られています。

私が中学、高校生の頃までは、女子生徒が体育の授業でブルマーを着用するのは、ごく普通の光景でした。それが1980年代後半から徐々に減っていき、ついにはブルマーを採用する学校がなくなってしまいました。

確かに、ブルマー姿だと男子生徒の視線が気になるのでしょう。恥ずかしいという気持ちがあるのは理解できました。ただ、それと同時に日本国中から一斉にブルマーが消えたことについては、ある種の違和感を覚えざるを得なかった。

今ではブルマーを消滅させたのは、女子生徒の純粋な気持ちからだけではないと考えています。

――何がブルマーを消滅させたのでしょう。

この20年ほどの間に、誰かが傷ついたり、嫌な思いをしたりすることをタブー視し、それを極端なまでに避ける風潮が強まりました。誰かが「嫌だ」と声を上げればもちろんのこと、そうでなくても誰かが嫌な思いをすると予測されるなら、別の誰かがそこから楽しみや利益を得ていても、それを犠牲にするのは当然と考える風潮です。

今では女性に気安く言葉をかけたり、親しげな振る舞いをしたりするだけで、もうセクハラと言い立てられてしまいます。

昔から慣れ親しんでいた『ちびくろサンボ』のような童話が絶版になるだとか、小学校で男女の別なく「さん付け」で呼ぶとか、大学の合格発表で名前を公表するのは人権に反するとされるというおかしな現象と、ブルマーの消滅は無関係ではないのです。

――その影響は我々の社会をどう変えようとしているのでしょう。

私は沖縄に住んでいますが、東京に行くと「女性専用車両」がありますね。あれを見ると、非常に気分が悪くなります。もう男性を(痴漢の)推定有罪と見ているわけでしょう。

実際に行為に及ぶ男もいれば、自制して理性的に振る舞う男もいる。後者の方が圧倒的に多いのに、男というのは痴漢をする存在だともろに形で表現しているのですから、男性に対する侮辱ですよね。

この20年くらいの変化で、一番損をしたのは中年男性でしょう。女性がそれまで損をしていた分、男性が女性に譲っているうちに、男性がドンドン押し込まれて、ものすごく窮屈な状態になってしまった。

男の文化にはもともと、女性を大切にして、譲っていくエートス(道徳的な特性)があったと思います。食事の時の会計も、ごく自然に男性が多く支払うし、帰りのタクシーだって「お先にどうぞ」と譲ってきたのです。

でも、女性の方は、こういう文化を共有していないから、譲られても必ずしもありがたいとは思わない。だから形式的な配慮で満足することなく、主張がエスカレートしてきたのではないでしょうか。かつて存在していた文化は能動的、客観的、目標追求的、男性的なものでした。今では受動的、主観的、ルサンチマン充足的、女性的な文化が優勢になっています。

明確な違法行為ならともかく、わずかな異議申し立てがあったからといってそれをすぐに「悪」と決めつけない社会。人間の生の感情や生き方を尊重する社会にいま一度、立ち戻る必要があるのではないでしょうか。

中嶋聡(なかじま・さとし)氏
1955年京都府生まれ。80年東京大学医学部卒。精神科医。沖縄県豊見城市で「なかまクリニック」を開業している。

■2007/07/23, 日経ビジネス, 97ページ

「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリー
「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリー土井 英司

草思社 2007-04-17
売り上げランキング : 90

おすすめ平均 star
star【ただの社員という立場をフルに活用する】
star書く能力に優れた著者の、とても読みやすく参考になる本
starカリスマ書評家の転職経験からはじき出した成功法則

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著者は32歳になる今日までに6回もの転職を体験したという。そのうちの1社が、書籍の販売を中心に日本でも急成長を遂げているウェブサイト「アマゾン・ドット・コム」だった。同社で著者は異例の実績を上げて「カリスマバイヤー」とまで呼ばれたものの、結局はその職も辞した。しかし、著者は自らの哲学を貫き通して、転職のすべてを後の“財産”に転化できたのだと言う。事実、現在はビジネス書などの出版コンサルティング会社を起業、少なからぬ成功を手にするに至った。

多くの人が転職でつまずく原因は、目先の給料にこだわりすぎることだと指摘する。著者の持論は「雇われたらとことん自分を安く売ること」。極端な考え方のようにも聞こえるが、“安い社員”という気楽な立場を利用すれば失敗も怖くないし、何より貴重な経験が手に入るという逆説には、うなずける部分もある。蓄積した経験値やノウハウ、すなわちビジネスパーソンとしての付加価値とは、「いつでもキャッシュに換えられる“財産”である」と信じて日々を生きよと呼びかける。

役立つ情報を提示する書物を100人が読んでも、実践できるのは5人だと言う。5%の枠に入るためには、自己投資をケチらず、これだと感じた教えを習慣化するよう努力せよと論じる。

■2007/07/23, 日経ビジネス, 95ページ

リアル・リーダーシップ―成功のための五原則
リアル・リーダーシップ―成功のための五原則ピーター・ジョージェスク デイヴィッド・ドーシー 伊藤 綺

中央公論新社 2007-05
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広く世界にネットワークを有する巨大広告会社、米国のヤング&ルビカムの名誉会長職に就くピーター・ジョージェスク氏は、グローバル経済における今日の変化を「供給過剰の世界」への転換を示すものだと指摘する。古い慣習から抜け出せない先進国企業が新たな勢力に駆逐される一方で、著者が提唱する「5つの原則」を実践する企業は、力強く飛躍できると言う。

この5つの原則とは、創造性、コンピテンシー(高い業績を残す行動特性)、時代が求める新たなリーダーシップ、社内外のアラインメント(連帯感)、正直さや善良さから成る価値感である。著者はこれらの概念を、広告ビジネスの最前線に37年間身を置いて得た知識と経験に基づき、分かりやすい言葉で解説する。例えば著者が求めるレベルの「創造性」は、「さっさと仕事に取りかかれ」と命じるような古いタイプの経営者にとっては、夢想にも似た無駄な作業にしか見えないと言う。だが、その「夢想」を生かすようなリーダーシップこそが必要と主張する。

また、強欲で暴君タイプのリーダーが成功する時代は終わり、現在は相互理解とチームワークを重視するリーダーの時代だと言う。「道徳的資質」を有する人物であることが大前提だと強く訴える。

■2007/07/23, 日経ビジネス, 95ページ

永田町vs.霞が関 最高権力を奪取する者は誰か
永田町vs.霞が関 最高権力を奪取する者は誰か舛添 要一

講談社 2007-05-08
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2001年の参院議員選挙で初当選し、昨年には事実上、参議院自民党の「ナンバー3」である政策審議会長に抜擢された舛添要一氏。同党による「新憲法草案」の取りまとめに際しては、中心的な役割を果たしてきた。本書では小泉純一郎・前政権以来、大きく変わり始めた政治家と官僚のパワーバランスに焦点を当てつつ、現在の自公連立政権の功罪について詳しく論じる。

官僚主導を本来の政治主導へと引き戻す激しい闘いが、水面下で日々繰り広げられていると言う。新憲法起草の過程では、地方自治を巡る総務省と財務省の争いが激しく、例えば、義務教育に関する短い文言にさえ、国庫負担金を狙う議員が横槍を入れてくるのだと言う。舛添氏はそうした愚行を「浅知恵」と一蹴し、自身を含めた既得権益にとらわれない政治家たちの動きを紹介する。一方で、同じ党といえども小泉チルドレンと呼ばれる議員の多くは勉強不足であり、部会への出席率も低い「政治家失格者の群れ」と憤る。

官僚政治の壁を打ち壊すためには、東国原英夫・宮崎県知事のようにしがらみのない立場と、旧来の構造の懐深くに飛び込む勇気と知恵、行動力という両輪が不可欠であると説く。また、世論を味方につけるためのメディア対策の重要性についても解説する。

■2007/07/23, 日経ビジネス, 95ページ

クリーンカー・ウォーズ
クリーンカー・ウォーズ長谷川 洋三

中央公論新社 2007-04
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トヨタ自動車の躍進で塗り替わる世界の自動車産業地図〓〓。本書はその原因は環境技術の開発力にあるとの視点から、日米欧の自動車戦争の行方や、エネルギーの多様化という新たな命題に取り組む各社の戦略を掘り下げて描いている。石油価格の高騰に加え、地球温暖化への対応という新たな外部圧力が技術開発に拍車をかけているが、著者は「各社の姿勢が真剣味を増しているのは、トヨタ1強時代が到来しかねないという恐怖心からでもある」と指摘する。

生き残りに賭ける経営者の生の声や開発現場のドラマなどを盛り込みながら、現在繰り広げられている環境技術の開発競争のルーツが、実は自動車の創成期時代にさかのぼることも検証している。

■2007/07/16, 日経ビジネス, 77ページ

あいまいな日本の問題点がスッキリわかる本―辛坊のニュースななめ読み
あいまいな日本の問題点がスッキリわかる本―辛坊のニュースななめ読み辛坊 治郎

幻冬舎 2007-06
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おすすめ平均 star
star日本人が知らねばならない慰安婦問題
star本当に「過去を直視」すべきは朝日新聞
star悪質な多事争論

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とてつもない日本
とてつもない日本麻生 太郎

新潮社 2007-06-06
売り上げランキング : 93

おすすめ平均 star
star自民にあってそうでもない、、、
starネットで話題に!
star日本人として確実に元気になれる

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この国の現状を正しく理解し直そうと呼びかける2冊の書がランクインした。いわば、識者による“日本の通信簿”である。参議院選挙の投票日が間近に迫った今なら、各党や候補者の政策を吟味するのに役立ちそうだ。

日本社会の綻びは年金問題だけではない。団塊世代の一斉退職や自治体破産、外交の脆弱性などの課題を次々に指摘するのが『あいまいな日本の問題点がスッキリわかる本』(旭屋書店本店のビジネス書で7位)だ。著者は読売テレビ放送解説委員の辛坊治郎氏。朝の情報番組に出演し人気も高い。番組での切れ味の鋭いコメントそのままに、特別会計や司法制度といった複雑な問題の“ツボ”を、短い言葉で整理する。

一方、麻生太郎外務大臣は『とてつもない日本』(紀伊國屋書店全店で総合7位)でこう憂慮する。「新聞を開けば、やれ格差社会だ、少子化だ、教育崩壊だ…と大騒ぎ。まるで明日にでも日本が滅びそうな気がしてくる」。本書では、悲観論に終始せず、まずは日本と日本人の優れた点を再認識しようと訴える。問題視されがちな我が国の若者や高齢者、地方自治体が持つ「底力」を見直し、日本が果たしてきた国際的な役割に誇りを持つべきだと訴える。

■2007/07/16, 日経ビジネス, 81ページ

「新しい中国」で成功する!―体当たり中国ビジネス必勝法
「新しい中国」で成功する!―体当たり中国ビジネス必勝法高橋 基人

草思社 2007-04-26
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ダイキン工業で初代のグローバル戦略本部中国部長を務めた著者が、中国でのビジネス成功の秘訣を披露する。

成否のカギは、中国人とうまくつき合えるかどうかにかかっているという。中国人とつき合ううえでは、「敬意を払う」「主張する」「相手の生まれ育った文化を理解して、その人を許容する姿勢や考えを持つ」という3つが重要と説く。鷹揚でブランド好きの北京人、利にさといタフネゴシエーターの上海人、柔軟・融通無碍な広東人と、地域によっても異なる気質を理解しておくとよい。著者は、ダイキン本社の中国人社員からの紹介をきっかけに、人民解放軍関係者や政府高官らと幅広く人脈を作り上げた。こまめに自筆の手紙を出すこと、記念日に必ず贈り物を贈ることなど、中国人の心を射止める具体的なノウハウを示す。

中国経済は製造・輸出偏重だった第1ステージから、内需主体の第2ステージへと進化を遂げつつある。変化に敏感に対応したマーケティング、営業、研究開発戦略を講じなければ、勝ち残ることはできない。そのすべてに関わるのが「現地化」。経営幹部に中国人を登用し、現地に意思決定システムを委譲するなど、中国人による中国人のための企業へと変革することが必要と指摘する。

■2007/07/16, 日経ビジネス, 79ページ

ABCDJ―とびきりの友情について語ろう
ABCDJ―とびきりの友情について語ろうボブ・グリーン 駒沢 敏器

日本放送出版協会 2007-04
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おすすめ平均 star
starなぜこの本が長編になったのかを考えると、泣けてくる。
starもっと評価されていい作家

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名コラムニストとして活躍してきた著者が親友・ジャックと過ごした日々を振り返る。タイトルの『ABCDJ』は、アレン、ボブ、チャック、ダン、ジャックという親友5人組の頭文字。5人は米オハイオ州の小さな町で、少年時代からいつも一緒だった。中でも、著者にとって最も古い友人であるジャックは、お互いのことをこれ以上知る者はいないという特別な関係だった。

そのジャックが57歳で末期ガンを宣告される。著者は残された時間をできる限り一緒に過ごすため、故郷に赴く。ある時は5人で集まり昔話に花を咲かせ、ある時は2人で町を散歩した。著者は時系列でその流れを描きながら、随所に、共に成長していく中で起きた思い出深い逸話を差し挟む。小学生の時、地元高校のスター選手から声をかけられたこと、高校生の時、レコード店でビートルズのデビューアルバムを買ったことなど、どんな時にも、どんな場所でも、ジャックと過ごした喜びの記憶が呼び覚まされた。

ジャックの容体は悪化し、ついに臨終を迎える。著者は自分が生きている限り、「ジャックにぜひ聞かせたい」と思う出来事があると予測し、「こういう形で永遠に友情は続く」と綴る。抑えた筆致の中に、親友の死に直面した著者の深い悲しみが伝わってくる。

■2007/07/16, 日経ビジネス, 79ページ

ユビキタスでつくる情報社会基盤
ユビキタスでつくる情報社会基盤坂村 健

東京大学出版会 2006-09
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2000年に発足した東京大学大学院情報学環は、2004年から「ユビキタスコンピューティング」のCOE(center of excellence=卓越した研究教育拠点)となった。本書は、研究を進行する一方で行ってきた公開シンポジウムの内容を収録する。

ユビキタス情報社会の構築には、技術だけでなく社会の仕組み、制度の設計までを視野に入れる必要がある。システムを社会的に成り立たせるには、知的財産権の問題、責任の切り分け、セキュリティーやプライバシーに関わる法律の整備、社会意識の醸成など、多くの枠組みを構築していかなくてはならない。食品トレーサビリティー(生産履歴の管理)システム、ユビキタス場所情報システムなど、実際の調査・研究事例を取り上げ、課題を追う。

ユビキタス情報社会は巨大な社会規模の情報システムととらえることができる。ある程度以上の規模の情報システムに共通することだが、ユビキタス情報社会でも「最大限の努力はするけれども、完全責任は負えない」という「ベストエフォート」の考え方が重要になる。システムの構築は産官学民の連携が必要。きっかけを作るのは「官」だが、東京大学などの「学」は、産官学民の広い協力体制のハブとしての役割を担うべきだろうと提案する。

■2007/07/16, 日経ビジネス, 79ページ

裁判官の爆笑お言葉集
裁判官の爆笑お言葉集長嶺 超輝

幻冬舎 2007-03
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おすすめ平均 star
starやや物足りなさを感じました
star大岡裁きも悪くない
starワクワクしませんでした

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2009年までに裁判員制度が実施される。裁判所は市民に対して「私の視点、私の感覚、私の言葉で参加してほしい」と呼びかけるが、法廷における裁判官の言葉に多くの市民が抱くイメージは「機械的で無味乾燥」というものだ。だが、フリーライターである著者は種々の裁判記録を調べ、数多くの裁判を傍聴し、その結果から裁判官も人の子であり、時には「人間味溢れる言葉」を発することもあると訴える。

ある裁判長は、養女に性的虐待を加えた男に実刑を言い渡した後、「あなたは獣の道に踏み込んだ。人間である以上、早く人の道に戻り出直しなさい」と諭した。また、万引きを繰り返す母娘へ「いいかげん、これっきりにしてください」と心情を吐露した裁判官など、ユニークな事例を多数紹介する。

■2007/07/09, 日経ビジネス, 78ページ

なぜか社員が働く会社の人事部―「論」より「情」で人を動かす
なぜか社員が働く会社の人事部―「論」より「情」で人を動かす清水 佑三

東洋経済新報社 2007-06
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著者に聞く-パーソナルライフ-清水佑三氏[日本エス・エイチ・エル社長] 採用でも企業に格差-『なぜか社員が働く会社の人事部』

成果主義、M&A(企業の合併・買収)、インターネットによる社外情報網の発達──。企業を取り巻く環境が激変する今ほど人事部の実力が試される時はない。一問一答式で人事マンの職業倫理を説き、エールを送る。

──成果主義の導入やM&A(企業の合併・買収)の流行など、社員の処遇変更を伴った企業の活動が活発化し、人事部の負荷も増しています。

人事部は会社を壊すためのアイデアを出す部署ではありません。人心の離反を防ぎ、良い風土を作るという使命を担っています。その中でも最近は特に「社員感情のフォロー」という仕事の重要性が増しています。

成果主義の導入にしろ、リストラにしろ、あらゆる人事施策は社員の納得感とセットで行わなければなりません。例えばトップが人員削減を決めた時、社員は減らし方のプロセスを見ています。「なぜ今、人を減らさなくてはいけないのか」の説明に始まり、対象者に対する説明をどれだけ丁寧に行い、納得させることができるか。対象者が納得せず、会社への不満を叫びながら去るようだと、残る者の士気にも影響が出ます。

すべてが合理的に説明できる決定ばかりではありませんから、人事部長自ら説得に乗り出し、「あの人が言うのなら仕方がない」という形で話を収める局面も出てくる。人事部長の器が問われるわけです。全人格をもって当たらないと業務を遂行できないのですから、今まで以上に人事部長に据えるべき人材の選択肢は限られてきています。

──良い風土を作ると言っても、人事部に与えられた裁量はあまりに限られています。

企業の方向性は、上から10人の幹部をどう動かすかで決まります。確かにこれら取締役クラスは社長が事実上の任命権を持っていますし、思惑で幹部の人事が決まることも多い。

しかし、人事部は社内で唯一、人的資源の客観評価ができる部署です。トップによる任命に透明性、合理性を持たせることはできる。職場から吸い上げた客観情報を基に、トップによる不公正な人事を拒否する抑止力があるはずなのです。

職場からの情報を入手するには、ラインの優秀なマネジャーとどれだけ密接なつながりを持てるかに尽きるでしょう。大企業の場合、幹部以外の社員に関しては人事部が事実上の任命権を持ちます。現場のリーダーと協力し合って、適材適所を実践し、現場を活性化することは可能だと思います。

──多くの企業が若手社員の定着率低下に頭を抱えています。人事部の手腕が問われます。

社員はインターネットの掲示板などで自社の内部情報を非公式に知ることができる時代になりました。社員だけではなく、ネットの掲示板が普及したことで、社員の採用でも企業間格差が生まれています。

健全な会社は、誹謗や中傷が書き込まれても、いずれ沈静化する。社の内外を問わず、それを相殺する前向きな書き込みが続くからです。ところが、社員の気持ちが離れている会社は、延々と悪口だけが続く。学生は自分が興味を持った企業の掲示板が、どちらに当てはまるのか、冷静に見極めています。知名度が高くても、マイナス情報しか書き込まれない企業には、優秀な学生が集まらなくなっています。

私どもの会社は、採用の選考時に応募者を絞り込む様々な測定ツールを提供しています。しかし、ふるいにかけるだけの十分な母集団が集まらない企業が増えています。いい人材が採れなければ、その企業の競争力が落ちる。この格差は将来、業績での格差につながると思います。

清水 佑三(しみず・ゆうぞう)氏
1944年生まれ。68年慶応義塾大学工学部修士課程修了。75年文化放送ブレーン立ち上げと同時に役員就任。87年より現職。

■2007/07/09, 日経ビジネス, 80ページ

大地の慟哭(どうこく)
大地の慟哭(どうこく)秦 尭禹 田中 忠仁 永井 麻生子

PHP研究所 2007-05-19
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おすすめ平均 star
star必読です。大迫力でした。

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中国では今、貧しい農村部の暮らしを捨てて都市部を目指す出稼ぎ労働者が後を絶たない。彼らは「民工」と呼ばれ、その数は2億人を超えるという。しかし、自らが生き残るためのわずかな賃金しか手にできない者がほとんどで、故郷に錦を飾るどころではない。働き手を失った農村部もますます枯れていく。経済成長を支えているにもかかわらず、過酷な労働下ではその命が軽んじられることさえある。

本書は「民工」の実態を詳細に記録したルポルタージュだ。さらに労働条件や賃金に関する調査により、都市部の平均的な中国人の姿からは想像もできないほど、貧しく虐げられている民工たちの姿を明らかにする。

訳者は「本書の内容は衝撃的であり、中国政府が表に出したくないような事実ばかりであった」と述べる。この言葉の通り、1年で2000元(約3万2000円)しか稼げない日雇い労働者、1軒の借家に6~7人で集団生活を送る女子工員、労働疾病対策のない現場に送り込まれる労働者らの悲惨な日常が次々に紹介される。とりわけ民工への給料の欠配問題は深刻で、7割以上の民工が規定の給料を期日通りに受け取れないという。中国に関わりを持つ日本企業にとっても、目をそらすことができない現実があぶり出されている。

■2007/07/09, 日経ビジネス, 79ページ

沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟
沖縄密約―「情報犯罪」と日米同盟西山 太吉

岩波書店 2007-05
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おすすめ平均 star
star「密約」の政治的経済的理由
star返還時から言いなりだった日本
star沖縄を金で買った日本政府

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1972年に発効した沖縄返還協定の裏で日米両国政府が交わしたとされる密約の情報を、当時毎日新聞の記者であった著者は外務省の女性事務官から入手した。著者はスクープ記事を発表するとともに、証拠となる情報を社会党国会議員に手渡すなど、国会の場でもこの問題が究明されるよう画策する。しかし、著者の意図とは裏腹に、世論の批判は「密約の違法性」から「機密漏洩」と「著者と女性事務官の男女関係」へと向けられていく。著者と事務官は国家公務員法違反の容疑で逮捕され、裁判で有罪が確定した。これが「沖縄密約事件(西山事件)」である。

風化しつつあった本件が再び注目を集めたのは、最近公開された米公文書に密約を裏づける記述が見つかったことによる。当時米国が日本に支払うとした400万ドルを、その裏で日本政府が肩代わりするなどの密約は事実だったとして、2005年、著者は謝罪と損害賠償を求めて国を提訴。しかし、今年3月に東京地裁はこれを却下した。

それでも密約の存在を確信する著者は、「密約はなかった」と主張し続ける政府を糾弾する。政府は費用の肩代わりだけでなく、沖縄への核の持ち込みを黙認していたことを裏づける資料を示し、沖縄返還前夜から今日に至る日米の不透明な関係を改めて検証する。

■2007/07/09, 日経ビジネス, 79ページ

NYブックピープル物語―ベストセラーたちと私の4000日
NYブックピープル物語―ベストセラーたちと私の4000日浅川 港

エヌティティ出版 2007-05
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おすすめ平均 star
star経験談として興味深い

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講談社の社員編集者として1989年に渡米し、その後約11年間、ニューヨークにある講談社アメリカで英文出版事業を手がけてきた著者による米出版界の見聞録。何もかもが手探りの状態から、書店を巡り、編集パートナーを募り、米国ならではのデザインや印刷を研究して、ついには300万部を超えるヒット作を送り出すに至った。

まず手がけたのは英国の政治家による日本礼賛本だったが、ほとんど売れなかったと言う。その理由を考えることで、米国特有の出版文化や米国人が求める本のあり方に、著者は思いを巡らせていく。次に企画したのが、旧ソ連の支配下にあったチェコスロバキアで起きた改革運動「プラハの春」の指導者であるA・ドプチェク氏の回想録であった。出版権は複数の出版社による入札となったが、最終的には著者らが獲得。その後出版されたこの回想録は大いに話題となった。また、新聞記事で見つけた100歳を超える米国人老姉妹が語る家族史を出版したところ、講談社アメリカに対する業界の評価が一変するほどのセールスを記録した。

著者はこうした経験から得た米国人観をも披露する。米国人は自己主張が強いと思われがちだが、実は他人の立場や意思を尊重することに大変な努力をする国民でもあると評価する。

■2007/07/09, 日経ビジネス, 79ページ
 
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